地球は丸かった②

【※地球は丸かった①からお読みください】


地球は丸いという事実を利用してテレポーテーションが成功して、テレビ局から引っ張りだことなった。金は充分手に入った。
次に私は、地球は丸いを悪用して、とある野望を満たそうとした。

カトパンをキャスティングしなければテレビに出ないと、プロデューサーに申し出た。今や視聴率男である私の要求を受け入れないハズがない。ピーが二つ返事で快諾した。
ところがAPがポカして、あやみ旬果を連れてきた。
「そもそもテメエがボサッとしてんのがワリイんだろうがっ! この前は剛力彩芽さんと岡本玲ちゃん間違えやがって」
私の目の前で、ディレクターがAD君をフルボッコした。お決まりのパフォーマンスだ。こんな体罰を見せつけられたら、ミスを許すしかない。
「すいやせんねえ。武井咲さんと中越典子ちゃんを間違えたり、大塚寧々さまとキスマイ藤ヶ谷クン間違えたりなヤロウでして」
謝罪するディーに、構いませんよと私は微笑んで器の大きさを演出した。というか、カトパンよりも可愛いな。

私は動じること無く「これより、ワールドワイドテレポイルージョンワープを行います」と言った。
私は、ある直線道路の上に、ノースリーブチャイナドレス姿のあやみ旬果を立たせた。
そして今回は、あやみ旬果の後方ではなく、前方50メートルの地点に、私が立った。
私の前方に、旬果の正面が見える状態で、こう言った。
「今から私が前へ歩き、前方のセクシイ女優さんの真横を通り抜けます。そのまま私は真っ直ぐ歩き、二度と振り返りません。ところが、私は、女優さんの正面から出現します」
まさかそんなことできるわけないと、共演タレントがどよめいた。おバカが鎮まるのを待ち、いよいよ私が歩き出した。
前に立つあやみを通過し、そのまま真っ直ぐ歩いた。今確実に、私の後方に、あやみが立っている。
私は更に真っ直ぐ歩いた。山を越え、谷を越え、僕らの町まで越え、トンネルを抜けたら雪国だった。更にも真っ直ぐ進んだ。そして、地球を一周した私は当然、あやみ旬果の前方から現れた。
正面へと近付き、胸をタッチした時の旬果の表情は、今でも忘れられない。そう! 正に今回はこれを狙ったのだ。
観客やスポンサーは、偉業に驚愕している。象でも踏み潰せない感動という空気を壊すわけにはいかないので、旬果も笑うしかなく、公然わいせつ済み罪ならず。
それにしても、脇毛が伸びるのが早い人だった。

「これが、フットパワーです」
と決め台詞を言い、脚をオーきゃくのように広げて、ガニ股で決めポーズをとった。




地球は丸かった③へ行く】