★とある片田舎にポツリ一軒建つ美味なるうどん屋発見!!★

そのうどん屋に入って実際に食す前は、期待値は底に着くぐらいに下がっていた。なぜなら、その場所はとても田舎で、客はおろか人っ子一人も見かけない。建物という建物も無く、道の周囲は田んぼだらけ…………!
果たして、
"道の周囲は田んぼだらけ"
という表現は正しいのだろうか……?
今ここで、
”周囲”
を使用しても良いのだろうか?

"周囲"という語句は、漢字の構成上、周りが囲まれた状態という語感になる。
だから、
"○○の周囲は田んぼ"
と言えば、○○のぐるり、いわば、○○の四方(東西南北)、
いや、四方八方(東西南北と北東と北西と南東と南西)が、
田んぼという状態である。
と、すれば、当然、◯◯の左右前後も含まれるので、"道の周囲は田んぼ"という状態は、道の前後も田んぼであり、
田んぼが、道の前後を阻んでいることになる。よって、道はもはや道ではなく土地。とても狭いスポット。
まさしく、"田"の字の中にある"十"の字の中央に位置している点みたいな場所である。
そして、どのようにして、そのような点に行けたのであろう。その問題の位置は、一歩踏み外せば、きっと田んぼに落ちる状態が最初から出来上がってしまっている。田による四面楚歌。ヘリを使用してベリベリベリベリ鳴らしながら上空から慎重に降り立たなければならないポチ。
ゆえに、"道の周囲は田んぼだらけ"という表現を、旅人である主人公が道を歩んでいる描写として使用した場合、文章自体が矛盾してしまう。
しかし、
"道の周囲は田んぼだらけ。ただし、道の前後は田んぼでは無く道ではあるが。"
と表現すれば、なんだか、田んぼが多いことの強調性が薄まり、えっ!それって、
どんな道なの??(^^;)
と、読者の注意が本文の目的ではない道にイッてしまう怖れが生じる。

そこで、
"周囲(ただし南北(前後)を除く)"
に値する語句を探し出そうと試み、"周囲"の類語を類語辞典(シソーラス)で調べてみた。

環境・傍近・近間・間近・付近・附近・界隈・近傍・周り・辺り近処・其の辺・其辺・近所・辺り近所・近所近辺・その辺・辺近所・辺り・近辺・側辺・辺近処・辺・側・傍・あたり・近隣・近く・境界線の外側・表面・周辺・外周・外縁・周囲長・周回・円周・外回り・傍ら・そば・付近・アラウンド・左右・附近・近傍・四辺・四囲・四周・四方・幹周り・ふち・回り・ぐるり・周縁・(胸)囲

この中の幾つかをピックアップして考察してみる。

『道の"間近"は田んぼだらけ』
実際そうなのだが、道と田んぼの接近の度合いは、本文の求める所では無い。
更に、「近いから笑」となるような語感を及ぼす。
同じく、"近間"も没。

『道の"其の辺"は田んぼだらけ』
少し大雑把過ぎる。
"その辺"は範囲が広い。割と道から離れた場所に田んぼがある状況にも成り得る。道と田んぼの距離は近くなければならない。

『道の"界隈"は田んぼだらけ』
まるで市場調査でもしているかのよう。同じく"近辺"も。

『道の"近所"は田んぼだらけ』
ド田舎という立地は伝わる。
しかし、道に住んでいるのでしょうか? 公道に家を建てることは不可能。
同じく"近隣"も駄目。

『道の"外回り"は田んぼだらけ』
これまた道が正方形の敷地だったり、何らかの建物っぽい。

『道の"アラウンド"は田んぼだらけ』
ルー大柴ですか!
横文字を使用して強引なキャラでエスケイプしようったって、そうはいきませんよ。
モアオーバー、所詮は周囲という意味。

『道の"左右"は田んぼだらけ"』
なかなか良い。
しかし、道を延々と進み、前を田んぼに阻まれる可能性が無いと言い切れるだろうか?
田で行き止まりは、農道ではよくある風景である。

『道の"表面"は田んぼだらけ』
田んぼが荒れて、その土地が農道を侵食してしまった結果なのか……
そんな農道は無い。他国なら有るかも。

『道の"境界線の外側"は田んぼだらけ』
非常にきちんとした表現であるが、横着世代に活字を読んでもらうには、できるだけ短い文章で伝えた方が良いので、"境界線"と"側"の文字を削除して、
『道の"外"は田んぼだらけ』
が有効な感じがする。

そういうわけで、
『道の"外(ほか)"は田んぼだらけ』
という表現を採用することで合意した。

以上より、
『道の"他"は田んぼだらけ』
が最も望ましい。