やかましや
子供の頃から頻繁に、親の車で祖父母の家を訪れていた。家に行ってもたいがい留守で、祖父は田んぼ仕事をしていた。畑に行くと祖母がいて、採れたての野菜をくれた。
雨の日は、二人共、家で本を読む。
まさに晴耕雨読の生活である。
二人の性格は対照的で、祖父は物静かで、祖母はうるさい。子である母は、祖母に似た。母は、私の勉強やしつけについて、事細かく言ってきた。
「なんで、そんなにうるさいだ?」
「お婆ちゃんの子だもん」
私が問うと、母は必ずこう返答した。
祖母も、私にうるさかった。
「宿題すんだかや?」
私が小学生の時、顔を見る度に聞いてきた。
ある日、こんな夢を見た。真っ白な壁に囲まれた部屋が出現。中央にベッドがあり、私がすやすや眠っている。突然、壁が出窓のように開き、祖母がにゅうっと外から覗きこんできて怒鳴った。
「勉強せんといけん!」
やかまし祖母とやかまし母は、よく衝突した。ある日祖母が、「足の調子が悪いので植木バチを蔵に運んでくれ」と、母に手伝いを頼んだ。母が手で運ぼうとすると、
「猫車で運べ」
と、祖母が言った。
「手で運んだ方が早いわ」
と、母が言うと、
「なんがあ、ねこ使え」
と、祖母がぐちゃぐちゃ文句を言い始めた。
「あー、うるさい、うるさいっ!」
母はヒステリックに怒って、手伝うのをやめた。
「全部が自分の言う通りにならんと気が済まんから、あの人は損な性格だわ」
母が私に言った。
このように、祖母は手伝いの仕方についても事細かく指示してくる完璧主義な性格である。(母も似たような事を私にするが…)
元気な祖母だったが、年をとって異変が起きた。
ある日、祖母は理容室で髪を切ってもらっていた。突然、小豆を煮ていた鍋の火をつけたままにしていることに気付き、あわてて家に戻った。鍋がカラカラになっていて、もくもくと黒い煙があがっていたらしい。
その日以来、しょっちゅう火を止めるのを忘れるようになった。そして、玄関ドアの内側に“火を消して出ること”という紙が貼られた。
後日、貼り紙が無くなっていた。祖母に理由を聞いたら、何回も家を出入りしているうちに慣れて、貼り紙を注意書きと認識しなくなったから、剥がしたらしい。
家の中に居ても、鍋をしたままあちこち動き回り、漬物を作ったり洗濯物をたたんだりしているうちに、火がついていることを忘れてしまう。
祖母は母にきつく叱られ、火がついている間は、ガスコンロの前にじっと座るようになった。
この頃から、母と祖母の関係が逆転してきた。年をとると幼児に戻っていくと言うように、祖母の行動はおっちょこちょいになり、失敗をやらかす度に母が注意した。まるで、母が親のようである。
祖母は最初、口答えをしていたが、だんだんと母の言う事を素直に聞くようになっていった。
私は大学生になり、東京で一人暮らしをするようになった。夏休みがくる度に実家に帰省した。盆に家族で、祖父母の家に泊まった時に事件が勃発する。
「服が裏返しだがん」
皆で朝食をとっている時、母が祖母に指摘した。シャツの襟首に付いているラベルが前にきていた。つまり祖母は、裏返しのシャツを、前と後ろ反対に着ていたのだ。
「だらじゃねーか」
母はあざ笑った。“だら”という言葉は方言で、馬鹿という意味である。
「裏じゃねえ」
祖母は言い返した。
「なんで? どう見ても裏でしょ」
「どげで、裏じゃあーへん」
虫の居所が悪かったのか、祖母は自分の服が裏返しであることを認めなかった。母に会う度に言われっぱなしでいることに、嫌気がさしたのだろう。
母と祖母以外の皆は、下を向いて黙々と朝ご飯を食べていた。
こんな日に限ってタイミング悪く、親戚の人達が昼御飯を食べに来る予定であった。祖母の服が裏返しのままだったら、こちら側まで恥ずかしい思いをする。
しかし元々頑固だから、自分で服を着直すことはしないであろう。
「ちょっと」
私は、母に奥の部屋に呼び出された。
「お婆ちゃんに、あんたから服を直すように言って」
「なんで?」
「孫の言うことだったら言う事聞くから」
「言う事聞くかあ? 何て言うの?」
「それは、あんたが考えなさい。昼までにだよ」
母は命令口調で言った。
なんとも無責任な話しである。昼迄に、祖母が服を元通りに着直すようにせよとの命令が出た。年功序列でいうと母が上官であり、上官の命令は絶対である。 私は、祖母にどういう風に言おうか悩んだ。普通に言ったところで直すまい。明確な根拠を示さねば、母に負けたことを意味する。
「さあ次の商品は帽子です」
テレビではローカルの通販番組が流れていた。
「実はこの帽子、裏返すと…ほらっ! なんと、全く異なるデザインに大変身っ!!」
「わー、すごい。一つで二通り楽しめるんですね。なんとも贅沢」
男性司会者が裏返した帽子を被ると、横にいた若い女性が驚いた。
「今年は、この商品が流行すること間違いなし」
なんだか、小学校の体育の授業でかぶっていた赤白帽子みたいだな。私は思った…待てよ、裏返し? 流行?……
「これだ!」
プロジェクトXというドキュメント番組で、煮詰まって悩んでいる研究者が突然閃いた時のように、ナイスアイデアが浮かんだ。私は祖母の部屋に行った。祖母は眼鏡をかけてクロスワードパズルを解いていた。
「婆さん、都会ではシャツを裏返して着ることが、流行っているらしいよ」
イチかバチかの嘘をついたため、内心ヒヤヒヤしていた。祖母は、老眼鏡越しの大きな目で、ジロッと私の顔を見た。祖母の目が三日月のようにニヤリとなった。
「ほんにや。じゃあ、裏返しにして着てみよかい」
かくして、祖母のシャツは元通りに戻ったのである。
その年の正月に帰省した時も、母と祖母の格闘を生で観戦することができた。両者、以前より口やかましくなっていた。
戦の後、イライラが収まらない祖母は、ガスコンロの油汚れを雑巾でゴシゴシ拭き始めた。
「私がしっかりせんと、皆がシャンとせん」
八十五になる祖母は言った。
★とある片田舎にポツリ一軒建つ美味なるうどん屋発見!!★
果たして、
"道の周囲は田んぼだらけ"
という表現は正しいのだろうか……?
今ここで、
”周囲”
を使用しても良いのだろうか?
"周囲"という語句は、漢字の構成上、周りが囲まれた状態という語感になる。
だから、
"○○の周囲は田んぼ"
と言えば、○○のぐるり、いわば、○○の四方(東西南北)、
いや、四方八方(東西南北と北東と北西と南東と南西)が、
田んぼという状態である。
と、すれば、当然、◯◯の左右前後も含まれるので、"道の周囲は田んぼ"という状態は、道の前後も田んぼであり、
田んぼが、道の前後を阻んでいることになる。よって、道はもはや道ではなく土地。とても狭いスポット。
まさしく、"田"の字の中にある"十"の字の中央に位置している点みたいな場所である。
そして、どのようにして、そのような点に行けたのであろう。その問題の位置は、一歩踏み外せば、きっと田んぼに落ちる状態が最初から出来上がってしまっている。田による四面楚歌。ヘリを使用してベリベリベリベリ鳴らしながら上空から慎重に降り立たなければならないポチ。
ゆえに、"道の周囲は田んぼだらけ"という表現を、旅人である主人公が道を歩んでいる描写として使用した場合、文章自体が矛盾してしまう。
しかし、
"道の周囲は田んぼだらけ。ただし、道の前後は田んぼでは無く道ではあるが。"
と表現すれば、なんだか、田んぼが多いことの強調性が薄まり、えっ!それって、
どんな道なの??(^^;)
と、読者の注意が本文の目的ではない道にイッてしまう怖れが生じる。
そこで、
"周囲(ただし南北(前後)を除く)"
に値する語句を探し出そうと試み、"周囲"の類語を類語辞典(シソーラス)で調べてみた。
環境・傍近・近間・間近・付近・附近・界隈・近傍・周り・辺り近処・其の辺・其辺・近所・辺り近所・近所近辺・その辺・辺近所・辺り・近辺・側辺・辺近処・辺・側・傍・あたり・近隣・近く・境界線の外側・表面・周辺・外周・外縁・周囲長・周回・円周・外回り・傍ら・そば・付近・アラウンド・左右・附近・近傍・四辺・四囲・四周・四方・幹周り・ふち・回り・ぐるり・周縁・(胸)囲
この中の幾つかをピックアップして考察してみる。
『道の"間近"は田んぼだらけ』
実際そうなのだが、道と田んぼの接近の度合いは、本文の求める所では無い。
更に、「近いから笑」となるような語感を及ぼす。
同じく、"近間"も没。
『道の"其の辺"は田んぼだらけ』
少し大雑把過ぎる。
"その辺"は範囲が広い。割と道から離れた場所に田んぼがある状況にも成り得る。道と田んぼの距離は近くなければならない。
『道の"界隈"は田んぼだらけ』
まるで市場調査でもしているかのよう。同じく"近辺"も。
『道の"近所"は田んぼだらけ』
ド田舎という立地は伝わる。
しかし、道に住んでいるのでしょうか? 公道に家を建てることは不可能。
同じく"近隣"も駄目。
『道の"外回り"は田んぼだらけ』
これまた道が正方形の敷地だったり、何らかの建物っぽい。
『道の"アラウンド"は田んぼだらけ』
ルー大柴ですか!
横文字を使用して強引なキャラでエスケイプしようったって、そうはいきませんよ。
モアオーバー、所詮は周囲という意味。
『道の"左右"は田んぼだらけ"』
なかなか良い。
しかし、道を延々と進み、前を田んぼに阻まれる可能性が無いと言い切れるだろうか?
田で行き止まりは、農道ではよくある風景である。
『道の"表面"は田んぼだらけ』
田んぼが荒れて、その土地が農道を侵食してしまった結果なのか……
そんな農道は無い。他国なら有るかも。
『道の"境界線の外側"は田んぼだらけ』
非常にきちんとした表現であるが、横着世代に活字を読んでもらうには、できるだけ短い文章で伝えた方が良いので、"境界線"と"側"の文字を削除して、
『道の"外"は田んぼだらけ』
が有効な感じがする。
そういうわけで、
『道の"外(ほか)"は田んぼだらけ』
という表現を採用することで合意した。
以上より、
『道の"他"は田んぼだらけ』
が最も望ましい。
北の欧から2032 時代
しかし、次第に、煙突がある家が無くなっていった。だから、針金が必需品となった。引き戸と壁の隙間から差し込み、上へちょいと上げれば、屋の内側に取り付けてある金具錠が針金によって押し上げられ、開錠となった。
しかし、高度成長、核家族化、ドウナッツ化現象、バイブルの時代が到来し、新興、分譲住宅達のドアーは、真鍮製の二重ロックスと頑丈になった。
おかげでピッキングウの技術が上達した。去り際に玄関の上方にマジックインキンで印を付け、ここの家での仕事は無事完了したことを同業者に告げた。
靴下は昔と比べて小さくなっていった。主流がゲイムカセットになったからのう。野球盤やぶたみんとんより小さいので、一気に多くの品物を運べるようになった。スパマリオやドラゴクエスト、バンゲリングベイなどを靴下へ入れて去った。ゲイムカセットが磁気デスクになったり、カアドになったり、カアトリッジになったりシーデーになったりしたけど、大きい包装紙で包まれた大きな立方体が豪華と言われた、大きいことはいいことだは過去の話しである。
そして、アイテーバイブルが崩壊し、暫くすると、枕元に靴下が無くなった。代わりに、スマトホンが置かれるようになった。今や幼児からスマトホンを持っている。
なーに、わけない。最近はジジもスマトホン慣れし始めている。ワスはスマトを手に取り、課金制ゲイムをダウンロドーして去った。
かくして、訪問時に荷物が不要となった。ホワイティ袋も不要となり、ラッピングウの手間も省けた。
現在は、枕元には何も置かれていない。全ての人間にはマイクロチップスが埋め込まれ、脳波で操作すれば壁や空中にゲイム映像が映し出されるようになったんじゃ。子供の頭を小突くだけでダウンロドー完了じゃ。
しかし、顔認証型のドアーが多くなり、鍵穴が無くなってもうた。已む得ず事前に主婦と仲良くなり、旦那が帰宅する前にあがらせてもらった。
しかし、子供がなかなか寝ない。一日十時間もスマトするから、ブルウライトゥとやらで覚醒させられての寝付けないのじゃ。
そこで、昼寝を狙うようになった。白昼堂々ソーリを長時間置けば、昼顔が御近所様にバレ易いし、トナッカイを待たせれば、糞をして叱られる。昔は所構わず糞しても何も言われなかったのじゃが。
といって、何も持たずに徘徊しておれば、不審者に間違えられるやもしれぬ。
セコンドバッグでも持つかの……
名前②
東京で飲み会をした時に、友人が連れてきた女性で、"田端"さんという人が居た。
しかし彼女から、『国分寺に住んでいる』と聞いて萎えた。是非とも西日暮里に住んで欲しかった。その場合、『なんでそこに住むねん。あと一駅で田端なのにっ!』とツッコめる。
上中里に住めば、最初の自己紹介だけで東京都北区市民全員の心を鷲ツカミ出来るのに、勿体無い。
大体、駅名が苗字だと、ちょっと恥ずい。
例えば、花の都は"新宿"。
住んでいる所が新宿だと格好良いが、苗字が新宿だと、ちょっとダサい。『新宿さん』って、呼ぶ方も顔が赤くなる。
都道府県も嫌だな。"さん"が付くと、途端に気恥ずかしくなる。北海道さん。
しかし駅名でも、"渋谷"は結構アリかもしれない。すばるが頑張ったからかもしらん。
コンパで実在した女子が、"五反田"さん。最初の自己紹介で名前オチ。それがカノジョにとってオイシイかどうかは、微妙。
五反田は風俗街というイメージが強い。
例えば、男だったら、下ネタに走って笑いを取れ得る。普通の男が言ったら引き倒すワードをも、この人が言えば、「まあ仕方が無いかー、五反田クンが言ってることだし」となる。
しかし、それが女性だと、扱いづらい。
結論を言えば、五反田くり子は、一切の下ネタを言ってはならない。例え本人が生来ドエロでも、遠くない未来にエロいことをしたければ、絶対に下ネタ厳禁。花も恥らう乙女を演じて、清廉潔白を男性陣に伝えるのだ。
そうすれば、五反田くり子という名称にもかかわらず、実はナンテこんなに純潔なんだっ!というギャップを男性陣に与え、この純潔を汚すのはオレだと、男皆を燃え上がらせる。その戦略で独り占めできるのだよ。
男は、女に対して最初の男になりたい願望がある。処女を奪えない人生を憂う男達がどんなに多いことか。
名前が微妙な女性達よっ! ギャップを利用して戦え! 必ずや男心をくすぐる。
私は明日、糞常時(フン ジョージ)という姓名に改名する。私の名前を知った上で時を共にした女性達は、第一声でこう言うであろう。
「意外と御トイレへ行かれないのですね。もっと貴方のことが知りたいわ」
名前①
ニックネームなのだが、
(なぜタマゴなんだろう……?)
と不思議に思っていた。
由来を聞いても、教えてくれないし、『タマゴぉ』と年下が呼んだら、髪を掴んでくる。
その男子は、"斉野尾"という苗字だった。発音は"サイノオ"だが、皆が『サイノウ君』と呼んでたし、"サイノウ"と聞こえた。だから、"才能"と混ざっていた。
今考えると、○○の才能がある人のことを、"○○の卵"と呼ぶこともあるので、そこの卵を取って、"タマゴ"と命名されたのでは…と、思う。
それにしても、珍しい名前だ。
就活の時に、"ごらい"という苗字の学生が居た。漢字は分からないが、縁起が良さそうな響きである。
「アナタの苗字は、珍しいので、それだけで先方に覚えて貰える」
と、面接官に褒められていた。
最終選考で、同じ実力の田中さんと争えば、ごらいさんが内定を勝ち取るであろう。
中学2年生の時、"玲子"先生という教師が居た。
初めての自己紹介の時に、先生が黒板の中央に、
"玲子"と書き、
「私の名前ですけど、この字読めますか?」
と、聞いた。
「難しいでーす」、「読めませ~ん!」
と、生徒達。
すると先生が、
「レイコと読みます。普通は、礼子や麗子って書きますよ。でも、難しい読み方の名前を親に付けられてしまったの。"玲"って、冷たくて暗い感じがしませんか? 麗子が良かったな。ある日、こう書き間違えられたことがありました」
珍子
と、先生が板書して、鋭い目付きで皆を見回した。
(……これは、ドヤ顔の類いだ)
しょっぱな笑いを取って、生徒諸君の心をツカミたかったのだろう。でも、それ、チュウニに言ったらアカンやろ。
その後先生は、調子に乗った男子生徒によって、苗字の頭2文字と、間違えられた名前である"珍子"の頭2文字を組み合わされて、"ミノチン"と命名された。
「ミノチン、ミノチン」って、父兄も普通に呼んでたからね。良き時代だ。
先生の苗字が、"古田"じゃなくて良かったと思う。
"珍"繋がりで言えば、ある飲み会で、"くり子"という名前の女性が居た。
しかも、漢字ではなく、平仮名で"くり"と書くと本人が言っていた。
「へ~、珍しいじゃん!」
と、名前をその場で聞いた男性は、誰もが目を丸くしていた。何かの本心を隠すように。
大学のクラスに居た普通の女の子だが、『自分でも変な名前だと思う』と言っていた。"モテ期"という言葉がまだ無かった時代だったので、初めて聞いたワードでもあった。
春のクラスコンパで彼女は『明日、別れ話するんだよお。会うのも超ヤダ』と憂鬱になっていた。
明日、カレと面と向かいあった時の彼女の姓を漢字にしたら、"面敵"なんだろうなあって思ってた。カレにとって"最敵"に成り得る可能性もある。そしてその後はしばらく"茂敵"と成ったり、仲直りすれば"模敵"だったわけであり、めでたく"喪敵"。その後結婚すれば、"母敵"。いや、敵は相手方の母だから、
"義母敵"
【名前②へ行く】
会話法
冷ややっこに、”桃屋の穂先メンマやわらぎ辣油味”を載せて食すと相当美味。
冷んやりとした豆腐の柔らか食感の最中で、メンマのコリコリ感が突如として出現し、ラー油がピリリと舌先を刺激して尾を引く。
酒のアテに最適で、日本酒は熱燗の友にして晩酌すれば、料亭気分を味わえる。ニヒルな笑みを浮かべれば、あたかも国家を牛耳る権力者が黒い交際中に意気投合しているかのようだ。
大学3年生の時、授業が終わると、いつも通り第2食堂(通称ニショク)へ行った。ここのある一角は、私が属するサークルメンバーの溜まり場であり、日頃から連中で俗世の会話を楽しんでいた。
その日の食堂は、まだ授業中のせいか、人が少なかった。一角に、新しく入ったばかりの一女(イチジョ)が1人でテーブル席に座っていたので、私は彼女の真正面に着席した。
「やっこに辛いメンマをのせて食べたらメチャンコ旨いんだよおーーーー!!」
と、私が言うと、そのイチジョはハァと頷き、下を向いてケータイを弄りだした。
翌日、授業が終わり、ニショクに行くと、昨日のイチジョとニナン(大学二年生の男子)が二人横並びで座り、楽しそうに会話をしていた。
私が二男の真正面の席に着くと、会話がピタッと止まり、
少しの間の後、
「ちわッス!!」
と二男が挨拶した。
彼の後に続いてドウモとイチジョが言うと、彼女は下を向いてケータイを弄り出した。そして、いささか身体を回転させた。
こちらから見える彼女は、背中の割合が若干多い。
二男と、「ヤギチリ(矢木先生の地理)簡単ヨネ」、「イノブツ(猪俣先生の物理)の方がちょろい」等の、単位が取りやすい全学部共通講義の会話をしても、
彼女は食い付かず、このままイヤホン(嫌phone)はめるんちゃうかーという感じだった。
そのうち食べ物の話しになったので、私はココゾとばかりに、豆腐にメンマを載せると美味いと力説した。
「ってーか、興味ないコト何回も同じこと言ってるしい〜!!」
唐突にイチジョが人差し指で私を指刺して言った。
「二度バナ禁止だからハハハ」
なんだ、その二度漬け禁止みたいな制度は?!……ここは串カツ屋じゃないよ。
いやいやいやいやいやいやいや。
嫌。
私は現在、二男と会話をしていた。
そして私は二男に対してのみ、話しを掛けていた。二男は、私に対してのみ、返答をしていた。
そもそも、会話不参加のアナタ(イチジョ)には、会話が聞こえたとしても、それに対して発言する権利は無い。
更には、現在に於ける我々の会話をワザと聴いたり、内容を記憶する権利も無い。
それらの理由は、イチジョが私に背を向けて、イチジョが一言も発さない状況から明らかである。
勿論、イチジョが故意に我々の話を聞いてなくても、イチジョの耳に自然に入り、また、その話しがイチジョにストックされることは、自然の流れなので良しとする。しかし、その情報をイチジョが使用、利用、流用することは許されない。
よって、当ニショクでの会話の所有権は、私と二男にあり、イチジョには無い。
「可愛い顔してるけど、俺はブスと思ってるよ」とイチジョに言ってやろうか……。
いや、それだと、私がイチジョを可愛い顔と認めたことになる。しかも、イチジョは私の事が嫌なようなので、私からブスと思われる、いわば、私のみから嫌われることは、双方が嫌い合うということとなり、イチジョからは願ったり叶ったりです。顔の造りだけ客観的に褒めてくれてアリガトとなってしまう。
私は、どう言えば、女がギャフンとなるのか、アレコレ模索していた。
「キサマには聴覚所有権は無い!!」
そう言おうとしたら、「じゃ俺達は不二家に行くんで」と、二男とイチジョがガガガと椅子を引いて立って鞄抱えて行ってしまった。
気分屋さんの恐怖
私の部屋には、CD―MDコンポがあった。
このコンポは、CDを一気に3枚入れることができ、MDを入れる所が上と下に2ヶ所あるという優れものだった。この2ヶ所の内の下のMDでは、CDの曲やラジオ番組の音声を録音できた。更に、上のMDから下のMDへも録音ができて、編集もできた。
しかし、購入して3年経った頃から、ややおかしくなった。
時々、上のMDの取り出しボタンを押すと、上が出ずに下のMDが出て来た。
「オマエちゃうがな!」
と、思わず関西芸人風のツッコミをいれてから、間違えて出てきちゃった方のMDの頭を引っ込めるのだが、これは笑って許せる。
しかし、このコンポは時々笑えない失敗を犯した。
当時、毎週、”放送室”というダウンタウンの松本人志のラジオ番組を聴いていた。この番組が滅法オモロかった。
だから、直接聞かずに、MDに録音しといて、後日じっくり聴いていた。
ところが、録音を失敗することがあったのだ。
通常、録音が終わると、ディスプレイに“writing”という文字が3~5回点滅して、データ書き込みが終わる。
しかし、文字の点滅が10回以上、30回も繰り返されて、挙句の果てに「ジージーカシャッ」と、MDが外に出てくることが、時にあった。
いわば、書き込み失敗という意味で、その日の番組は録音されていない。笑いと情報を渇望する私にとって、習慣化している番組が聴けない、観れないということは、食い物の恨みよりも恨めしいことであるから、笑えない。
しかし相手は機械だから、不用意に突っ込めば、ますますボケることになる。この点は芸人さんと一緒だ。しかし相手が人間ならば、ペチーンと頭を叩いても笑いがおこるが、機械の場合は、リモコンの命令に従わなくなったり、ひどい時にはこちらの手の骨が支障をきたしたりしてしまう。中学生の時、テトリスがクリア出来なくて、ゲームボーイの画面に鉄拳制裁をくらわして、画面をクリアにしてしまった友人がいたが、そんな結果は避けたい。
ゆえに、顔を真っ赤にして、拳を見えない血がしたたるほど握りしめて、「グムム~」とひたすら我慢するほか策は無かったのである。
以上より、機械にとって一番厄介なのは、時々おかしくなるということである。
常におかしいのであれば、壊れたと見なして処分すればよい。
しかし、時々オカシイの場合、捨てるのは勿体ないし、買い換えるには高価過ぎる。
私のコンポの場合、録音を失敗するのは、10回に1回ぐらいの割合だ。修理に出しても、"原因不明ですな修理代の方が買いかえるよりも高くつきますよ"という診断結果が出そうな症状である。完全に壊れて新しい製品を購入するまで、時々「グムム~」が続くのだ。
同時に当時の洗濯機も、時々ボケる電器製品の類だった。
洗剤を入れて、ボタン1つ押せば全行程を実行してくれる、ごく普通の全自動洗濯機だった。
だがしかし、時々脱水をとばしやがる。通常、洗い→脱水→すすぎ→脱水と進むはずが、洗い→すすぎ→排水で終わるから、洗濯物に洗剤泡がついているは、ビチョビチョだわである。
だから、洗濯をする時は常に見張っていて、脱水をとばした瞬間電源を切り、脱水に設定しなければならない。
時々の失敗があるせいで、洗濯機を回したまま、外出したり、風呂に入ることができないから非常に悔しい。
以上のような、気分屋さんと化した電器製品はどこの家にも居ると思う。
高校生の時の友人のステレオは時々、大音量になった。友人が夜、ステレオをつけたまま、トイレに入っていたら、ウルフルズのガッツだぜ!が唐突に彼の住宅界隈にこだました。近所の赤ちゃんや犬がパワフルに泣き出した。友人があわててトイレをとび出してからボリュームを下げるまでが、ボクサーがリングでダウンする時にアドレナリンが分泌されてスローモーションになる状態になったそうだ。激怒する両親に、霊のシワザと言い訳したそうだ。以来、友人が音楽鑑賞をする際には、ボリュームのツマミをずっと監視していた。
機能の向上よりも、時々ボケない電化製品を生産することこそ、メーカーの今後の課題といえよう。
本屋を通してキャラ考察
店主の殆どがオッサンだからだ。店員が1人だけの本屋に入って、20代の女性がレジにいることは、まず無い。7、8割がオッサン、またはお爺さんである。残りはオバさんかお婆ちゃんだ。
オッサンの店のレジ一帯は、誰も足を踏み入れることができない、オッサンのテリトリーだ。FMのオシャレな音楽番組ではなく、AMのTBS、文化放送ラジオで流れるオッサンのお話をバックに本を読んでいる。お爺ちゃん店員だと、NHKが圧倒的に多く、皆メガネで勿論コンタクトはしない。
客が本屋に入っても、「いらっしゃい」と言わない店が普通である。なかには、レジの横に小型テレビを置いていて、客が来ようがテレビ画面から目を離さない強者もいる。
しかし、このような店員を無愛想だと思わないのは私だけであろうか?
いやむしろ、このオッサンは優しくていい人だと思えてしまう。物言わぬ店員は、立ち読みしているお客さんの迷惑にならないように静かにしておくという配慮をしているかもしれないのだ。
また、エロ本の占有率が異常に高いのも特徴だ。「いっそのことエロ専門店にした方が、男性層をガッチリ掴めるんじゃないっスカ」とアドバイスしたくなるほどの"ほぼエロ本屋"もある。配置もあまり考えてなくて、芥川賞作家の本郡と僅か3cmの木板で隔てた所に、“白昼濡れ濡れ~”なんていうタイトルの文庫本があったりする。
なにはともあれ、オッサン店員は物静かな人が多いわけだが、例外もある。
私が中学生の時に初めて、ある本屋に、母と一緒に問題集を買いに行った。店主は鼻の下に髭を生やしたオッサンで、毎日丁寧に頭を剃っているようで、見事にツルツルだった。
私が本をレジに持っていくと、オッサンが、「今年受験?」と聞いてきたので、「はい、そうです」と答えると、「がんばってね」とにっこりしながら、本を紙袋に入れてくれた。私は「ありがとうございます!」と言い、母はその光景を微笑ましく眺めていた。
それから数日後、学校で友人が、
「傑作オヤジを見つけたから、見に行こうや」
という話しを持ちかけてきた。
なんでも本屋の店主で、超潔癖症らしい。商品の本を大事に扱っていて、立ち読みしようものなら、「コラッ!」と本を取り上げ、白い布でゴシゴシ指紋を拭き取るらしい。その必死な様を観察するために、仲間3人で立ち読みしに行くことになった。
自転車で問題の本屋に到着した時、「あちゃー」と思った。
先日、母と問題集を買った所だ。この本屋のオッサンからみた私は、"感心できる勤勉な受験生"といったところであろう。しかし今日は、不真面目なイタズラ坊主である。
以前と真逆のキャラを演じるのは心苦しい。優等生が悪ガキと認知されてから怒鳴られるまでの、空気と間の悪さのなんたるか。想像しただけで、頭をかきむしる程恥ずかしくなる。
しかも、本屋に1人ずつ入ることになった。ジャンケンで勝った順に店に入り、他のメンバーは外から観察。1人が怒鳴られて店を出たら、次のガキが店に入る。そして最後のガキは、エロ本を立ち読みしなければならない規則になったのだ。
もはや計画は決定し、我々は運命共同体である。今更抜けるなんていったら、一生腰抜けと呼ばれる雰囲気だ。
こんな時に限って事態は最悪。晴れて私はオオトリのエロ本担当となってしまった。
トップバッターの友人が入る。オッサンは友人をジロッと見て、全く目を離さない。悪ガキが本を手にとり、パラパラ頁をめくるやいなや、オッサンは至近距離であるのに、首を曲げた前傾姿勢で猛ダッシュ! ⊿t秒で友人の本を取り上げた。
オッサンが牛なら友人は闘牛士で、本はカポテ(牛を挑発する赤い幕)といったところか。えらく興奮している様子が外にも伝わってきた。
戻ってきた友人が、「頭のてっぺんまで血管が浮きでとった」と言った。もう1人の連れはゲラゲラ下品に笑っている。その悪ガキが怒られて、いよいよ私の番がきた。3番目ともなれば、店に入って即座に共犯者だとばれるし。あ~やだやだ。
冷んやりズシリとしたガラスドアを開けると、オッサンの視線を右目の片隅で感じた。私はびっこをひいたような足どりでエロ本コーナーに向かう。
(オッサンへ ごめんなさい 今日は優等生ではございません なるべく早く叱って下さい 大至急 私のキャラをクソガキに位置づけて候)
心臓をドキドキさせながら、エロ本をめくった。
しかし、オッサンはこちらに来ない。
なんとそれどころか、奥の部屋に引っ込んでしまった。
恐らく、オッサンも"優しいおじさんキャラ"から"カミナリオヤジキャラ"に変身することが、気持ち悪かったのだと思う。
オッサンにも、自分のキャラ設定についての心がけがあったのだ。
視覚所有権の是非
特にポカポカ陽気の日は、断続的にボーっ、ボーっ、ボボーっ、
ボ!とする。
「なに、ボケーっとして!」
と、小学生低学年の時から頻繁に、母や先生から注意されたものだ。
授業と授業の間の5分休憩の時は決まって、席に座ったまま、机に立てた肘に頬を預けた状態で、ボヤーーーっと1点を見つめていた。
目の先は、グランド、遠くに見える山、青い空などの、いかにも心が洗われる風景ではない。目先は、真ん前に座っている、クラスメートのまるめた背中の中央であったり、3列前の机の横についている、給食袋をひっかける鉄であったりだった。
全く瞬きをせずに、某一角をぼんやり見続けるだけの行為は、非常に気持ち良い。仮眠(もしかすれば仮死)に近い状態であろう。
他のクラスメートは教室を走り回ったり、友達と至近距離なのに大声で会話をしたりしていたので、騒々しい。しかし、この周囲のざわめきが、全て混ざって一つのネで聴こえるようになったとき、騒音はG線上のアリアのごとく心地良い癒し系の曲となる。精神は至福に至り、机の横を走る一年坊主が我が上腕に当たった所で、ボケーーーーーが覚め無くなれば、達人の域である。
はたから私を見れば、「どこ見とーだ!」とツッコみたくなる表情であろう。ポカンと口を開ければ更に昇華できるのだが、あまりにマヌケな顔になるようなので、色気づいた時期にやめた。
大学時代に起こった出来事である。
ある昼休みの時、次の授業の教室で席に座った。その授業は大講義室で行われていた。簡単に単位がとれるせいか、受講者がぞくぞく入室してきていた。
椅子の背にもたれかかっていたら、いつしかボケーがやってきた。左斜め前の教卓下方を、焦点を合わさずにぼんやり見つめていた。
やがて、その視界に、赤いセーターが入ってきて、教卓が遮られた。私の目と、教卓の間にある席に、女性が座ったのである。その娘は、もう1人の女友達と横並びで座り、楽しそうに会話をしていた(ただし、その時はボーっとしているので、そこに女性がいて、会話しているという意識は私にはない)。
視界の中で、女性の右腕が上下に揺れていた。その揺れが、リズム良く穴を掘るボーリングの映像として視神経に取り込まれ、心地良さが増す。突然、その娘が後ろを振り向き、私の方を見た。
しかし、私はそれに気付かずに、相変わらずボーっと一点を見ていた。
するとその娘は、不審な顔でチラチラこちらを見始めた。
恐らく彼女は、私にジーっと凝視されているように感じたのだろう。彼女の猜疑心に気付いた時はもう遅し。彼女は私をいぶかしがりながら、隣りの友達と会話をしていた。
「なにあれ、ずっと私を見てる」「うっそー、超キモい。ストーカーじゃん!?」
彼女らの表情から察するに、このような会話が繰り広げられていたことだろう。
私はあわてて目を反らし、これ以上気持ち悪がられないように、彼女らの方向を二度と見ないように努めた。
しかし、落ち着いて考えてみると、だんだん腹が立ってきた。
彼女らに、以下の抗議をしたくなった。
「最初にあなたの座った場所を見ていたのは、僕ですよ。あなたが後から僕の視界に入ってきたんじゃないですか」
私は、彼女らが居ない時から、その場所を見ていたのである。人の視界に後から入ってきておいて、「あの人、私のことを見てるわ」なんて解釈をされる筋合いはないのだ。
例えば、電車の席は最初に座った人の席になる。それと同様に、
“ある空間は、それを最初に見ていた人の空間である”
とするべきである。
これを視覚所有権として、法律で制定して欲しいものである。
子供ができてん③
顎の腫れは引いたが、内部で形成されている袋のような物は、まだ除去してないので、粉瘤自体は治ってなかった。
数日後、その袋に老廃物が溜まり、以前の豆粒ほどのイボに戻った。
『雑菌が入ると再び化膿するから早めに除去した方が良い』と医師から言われたが、面倒だったので放ること数年。
しかし実家に帰省する度に、普段は物言わぬ父親が、なんでかイボに関しては口うるさく、「早くとれ。格好悪いぞ」としきりに言ってくるので、東京に戻った時に除去することにした。
駅前の小さな皮膚科へ行った。
麻酔を打たれ、医師が指先で顎を突ついて、「感覚無くなりましたか?」と確認した後、肉が焼けるニオイがしてきた。電気メスを入れてるのだろうか。やや香ばしい。
奥歯が強い力で引っぱられるような感じがした。痛みの感覚はないが、何か大きなモノをえぐり取られている気がした。無感覚なので、重要な部位を取られても気付け無いという怖ろしさで、汗が止まらない。
放電板を持ってない方の手を、腹部でモールス信号のようにトントンしたら落ち着いた。
なんだかんだですぐに終わった。
切開2センチの所要時間たった15分だが、手術経験者になるらしい。
因みに、祖母は母に「手術日に東京行って付き添え!」と、しつこく言っていたらしい。老人になると、オーバーな感覚になるようだ。
麻酔が解けるまでの数十分は、顎と口周りが麻痺した。鏡を見ると、顔が左に歪んでいるように見えた。ガーゼに張ったテープで引っ張られているのが原因か怪しい。
歩くと身体が右に歪み、斜め右方向へ進んでしまう。左側が軽くなったからであろうか? でも、まあ、脳に微量の電流が走る感覚がつきまとって真っ直ぐ歩けないような気分は週2であるから、それかもしれない。
辛いのが一週間の禁酒。長過ぎる休肝日。唯一の趣味かつストレス発散方法を奪われ、コーヒー、コーラ、ポテチ、チョコを爆食いするようになった。
走ったら、顎の縫い目が響くので、鬼ごっこは出来ない。大口開けると、縫い目が開いてしまうことがあると警告されたので、笑う時は鼻で笑う感じになって腹筋が苦しかった。豆粒のようなイボごときで、このような苦行である。
一週間後に抜糸をした。
意外と、一日も欠かしたことない酒を一週間も辞めることができ、手も震えなかったので、アル中では無いとこが証明された。今後、安心してヤケ酒できる。
中学の同級生に手術の結果を報告した。以下は、当時のメールのやりとりである。
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<北の区から08 切開>
2週間前にイボ取る手術したけど、イボの大きさはパチンコ玉サイズだったでしょ?!
実はあれ、大きい球の一部分が突出していた状態で、本当は、顎から喉そして首の内部にかけて大きなデキモノができていた。慎重に摘出したらなんと、ゴルフボールサイズの球体!!
見事に顔の左下部分が凹んでしまって、外出するときは凹んだところにスポンジボールを押し込んでその上に包帯を巻いている。
<Re:北の区から08 切開>
マジバナ? そんなにデカクテ今まで痛くなかったの?
<Re: Re:北の区から08 切開>
あくまで良性のできものだから痛みはなかった。頬の内部や喉に渡って食い込んでいたから、「今まで、物を食べる時につっかえたり、一気に多くの物を頬張ったりできなかったでしょう?」って主治医に言われたけど、上京してからは普段少食だったし、別に気付かなかった。高校以来、風邪ひいて喉見せることや歯医者に行くこともなかったから、まさか喉に大きい球体があるとは、分からんさ。放っておいたら、テニスボール、果てはソフトボール大になって、こぶとりじいさんみたいになってたんだって。まあ、その前に物を飲み込めんようになって、気付くらしいけどね。
それで、豊胸手術の要領でシリコンを注入すれば凹みが治るんだけど、これは整形の領域で保険が効かないから八十万費用がかかるんだって。あと、自分の尻の脂肪を注入する方法もあるけどこの手術は日本ではまだ許可されていなくて、一番近くだとシンガポールで手術できるけど、費用は二百万!!!! しかも、交通費別途。
このまま放置して自然治癒を選べば、脂肪が生成して完治するまで20年かかるらしい。
<Re:Re: Re:北の区から08 切開>
けっこう大変そうだな。
そのイボとるのも大変な手術だったんだろ?そんなに大掛かりになるようなイボには見えんかったわ
<Re: Re:Re: Re:北の区から08 切開>
駅前の小さい皮膚科に行ったら、帝京医大にまわされたね。十一時間に及ぶ大手術。誰にも言うなよ。心配すると思って親にも言ってない。
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キチント口止めしておかないと、多少盛った話が広まってしまう。
一ヵ月後、再びメールを送った。
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<北の区から08 大殺界>
シンガポールの他にスイスが手術費用が安いって聞いて、行くことにしたのね。で、中国経由の国際便に搭乗したけど、唐突に上空1万メートルをUターン、帰国よ。出鼻くじかれた。
<Re:北の区から08 大殺界>
まじで行こうとしたん?
<Re: Re:北の区から08 大殺界>
最初、悪天候なため誠に申し訳ありませんが引き返しますみたいなアナウンスが流れて、めっちゃ晴れてるのに…って他の原因かもって不安になった。
成田に戻った時、エンジントラブルが原因だったみたいで、「天気が原因じゃねーじゃねーかっ!」って酔っ払いのオッサンがキレてた。
<Re: Re:北の区から08 大殺界>
風呂上り
包帯外した顔みる? 画像をパソコンに送れるけど
<Re:Re: Re:北の区から08 大殺界>
送ってみて見るの怖いけど
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二本のツマヨウジを鼻の穴と下唇で挟んだ顔画像と共に、テッテレー!という効果音を送っておいた。
また、ある日、フンリュウを患った知人女性からメールが届いたので、私の経験談を教えてさしあげた。
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<お久しぶりです♪>
前に顔のオデキとったと言われてましたよね。どこの病院に行かれましたか?
<Re: お久しぶりです♪>
お元気!?
駅前の皮膚科だよ。名前覚えてないなあ~
<Re: お久しぶりです♪>
病院に行ったら、フンリュウという良性腫瘍と言われたんです。切ったほうが良いと言われました。駅前の皮膚科は良かったですか?
<Re: お久しぶりです♪>
俺もフンリュウだったよ。病院は普通。どのぐらいの大きさなん?
<Re: お久しぶりです♪>
1センチくらいです
<Re: お久しぶりです♪>
その程度なら、近くのテキトーな皮膚科で充分ね。
腫れる前に袋を除去した方が良い。
俺の場合は、爪楊枝刺して中身を出そうとしたら、ゴルフボール並に腫れて八千円損した。
<Re: お久しぶりです♪>
ごるふぼーる!!
<Re: お久しぶりです♪>
ゴルフボール大になった二代目顎がパンパンになった。口動かしたらじんじんするし。
鏡見ながら猪木の真似したら、顎から白い膿がチブシュッって飛んだ。
「なんだコノヤロー」って言ったら、ドロロロローッって更に出てきた。
<Re: お久しぶりです♪>
笑えないですー(゜Д゜)!!
<Re: お久しぶりです♪>
丸めたガーゼを穴に押し込んで、その上にガーゼ巻いて、毎日取り替えを一週間。血で接着したガーゼを取る時に皮膚が剥がれ、丸めたガーゼの挿入は口内炎に押し込まれるような激痛。
今思えば爪楊枝で刺した穴から中身を取り出そうとした行為はどうかしてるわ。医者に「なんでそんなことしたのよ?」って叱られたね。馬鹿だな。
<Re: お久しぶりです♪>
ゴルフボール大で傷口残りませんでしたか?
<Re: お久しぶりです♪>
ピンポン玉大かもしらん。しかも丸々ってことじゃないよ。半球埋まって半球出てる感じ。傷は残らない。
<Re: お久しぶりです♪>
おそろしい(>_<)
<Re: お久しぶりです♪>
ビー玉大だったかもしんない。
<Re: お久しぶりです♪>
コラ!(笑)
<Re: お久しぶりです♪>
ボーリング大だったかも。
<Re: お久しぶりです♪>
頭2つです。
(^ω^;)(;^ω^)
<Re: お久しぶりです♪>
今度ボーリング行かない?
<Re: お久しぶりです♪>
二人でですか?
<Re: お久しぶりです♪>
二人でです。
<Re: お久しぶりです♪>
無理です。
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それがその夏の出来事だった。
アーア アアアア アーアー アアー アアアア アー
子供ができてん②
「立派なモノこさえて来たねえ」
医者が、ニヤニヤしながら言った。
「フンリュウっていう病気ですよね。その中に菌が入って腫れた症状だと思います」
「よく知ってるねえ」
「ネットで調べました。難しい字ですよね。粉瘤」
「そだね」
「書くことはできません」
「ははは」
「病名と症状は自分の力で知ったので、診察代を負けてくれませんか?」
「そういったことはできないね」
「治りますかね?」
「多分ね。百パーセントとは断言できないけど」
「どのくらいで治ります?」
「分かんない。言った期間で治らなかった場合にイチャモンつけられたらかなわんから」
私は診察台に仰向けに寝かされた。
先程の医師の妻らしきオバちゃんが来た。夫婦で開業している模様。
「ドウシテこんなになるまで放っといたの」
「放っといて、こうなったから来たんデス」
真上から強い光を浴びせられた。
私はこのシチュエーションに滅法弱い。だって、絶対笑ったらダメな時じゃないですか。そんな時に限って、架空のブスが脳裏に浮かぶ。そして架空ブスが白目をむいてニタリとするのだ。
「自然治癒で治るんだったら、何もしない方がいいんですけど」
私は早く逃げ出したかった。既に口と左ほっぺの間がプルプル震え出していた。白目でしかも坊主頭の君が「誰が短髪じゃあ!」ってキレながら追いかけてくるんだ。
「その病気を大事にして付き合っていくんならいいよ。とっちゃいましょう」
太いピンセットのようなモノでオヤジが挟み潰してきた。
「ギイアッ!!!」
ブスガス爆発。ブス消えた。
幾本へも枝分かれしている薔薇の枝が顎からうなじ目掛けて走った。
顔面が潰れたかのような激痛。私はクシャおじさんになっていた。そりゃ、痛いよ。肉の中に金属入れてほじくりまわしてるんだもの。
ぽっかり空いた穴の中を消毒液で洗った後は、ガーゼを詰め込むんだって。
細長いガーゼ、これまた消毒液がしたたる黄色いガーゼを折り畳みながら、ギュッ、ギュウッっと押し込んで行くドクタア。そのピンセットの先端が、直接脳の痛覚を突ついているようで、ギャッ、ギャーテ、ギャーテと阿鼻叫喚。
最期の一押しによって、後頭部を貫かれた。
ハラソーギャーテ
「はい大丈夫。男の子なんだから悲鳴あげなーい」
顎先に、四角いガーゼが被せられ、ガムテ大の白いテープを十字に貼られた。
「明日から毎日来て下さい。ガーゼを取り換えますんで」
って、鏡を見るともう血が滲み出て1番上のテープにまで浸透してる。
「せんせえー、もう取れかけてますけど」
直ちに張り替えてもらった。
翌日、病院へ行く前に頭を洗うと、大きいガーゼがテープごと取れ、凝固した血と共に皮膚が剥がされジリジリした。
顎からチョロっと赤茶の布が出ている。血で染まったガーゼの先端である。病院へ行くと、これを引っこ抜かれ、新しい細長ガーゼを詰め込まれた。痛が顎を出発して後頭部を貫通する阿鼻叫喚の連日七日間戦争で、ようやく腫れ引いた。
【子供ができてん③へ行く】
子供ができてん①
ニヤリとする。攻撃的な赤鬼だ。
そして、顎の左部分に焦点が定まって離れなくなった。
直径1センチのグリンピースほどの半球が突出している。
指で押さえてみる。
痛みもなんもなく、コリコリ固い。3年間放置しているイボ。
こん中の鬱屈を出したい衝動に駆られた。コンビニ割箸の袋を割き、ツマヨウジを取り出した。
鏡に向かい、イボを楊枝で刺してみた。
チクり注射の痛みの後、血の点ができた。
イボを二つの指で摘まんで強く押しても、血の点がじんわり少しずつ出てくるだけで、イボは石のように固くてびくともしない。
想定外だ。なんか白い脂肪や透明の液体が一気に噴出してみるみる萎むと思ったのに。
翌日、鏡を見ると、イボが一回り大きくなり、赤黒くなっていた。触ると僅かな痛みを伴った。
中に悪趣味なモノも溜まり始めている。
「出すか」
親指と人差し指の爪で顎イボをギュッと搾った。電気が一瞬のうちに流れたような激痛と共に「ピシッ」って音が後頭部で聞こえた。慌てて指を引き離したもんだから、ガンッ!と手の甲を鏡にぶつけ、のたうちまわった。
イボはしぼまなかった。
そのまた翌日、舌で上歯茎をねぶったり、水を含んでブクブクしただけで、顎がジンジンした。
指で押す度に、ジン、ジンと響く。
強めに押さえてみた。電気が顎を出発して、うなじにまで走り、「ピシッ」って音が後ろで聞こえた。
そのまたまた翌日、 イボの大きさはビー玉ぐらいにまでなっていた。
内部を何匹もの線虫が蠢いている感覚でムズムズする。
夜になると、それらは夜行性のように運動を活性化し始めた。イゴイゴイゴイゴ蠢く速さが増して、痛こちょばしい感覚に耐え切れず、部屋内を徘徊していた。
たまらずユニットへ逃げ込み、解決策が見い出せない泣きっ面を鏡越しに睨んでいると、内部の運動がし過ぎて玉の表面が裂け、脱出するように出てきた。ドロドロの白い液体がジンジン流れ出た。顎を前へ突き出す度に、臭う白液が噴出して顎を伝う。
同級生に電話して、助けを求めると、「病院行った方が良いんじゃない」と言われた。
「精神科と内科どっちに行ったらいいんだっ?!」
「う~ん、皮膚科じゃない」
「俺1回精神科に行って、全身を調べてもらおうかと思ってるんだ」
「まだ、大丈夫だよ」
「精神病患者は自分のことを正常だと思っている」
「大丈夫だよ。俺から見てちょっと変わりもんなだけだもん」
「アンタと私が異常だったらどうする? 異常者2人が我々はマトモだぜと言い合ってるだけかもしんない」
「そうかもね。だったら俺は、他人に俺オカシイって言うことにするわ」
「それいいね、相手が『おまえオカシイ』って言ったら、『上等じゃねえか、だったらどっちがオカシイか2人で病院行って調べてもらおうじゃねえか』って言えばいいんだよ」
「ハハハー」
「でもな、病院に行くだろ。そしたらこの顎にいる子は怒らはるんじゃないでしょうか。これは子供やねん。まさに、産みの苦しみから産まれようとしている私の子供だ。だから大事にせんと」
「じゃあ、早く外に出してあげないと。帝王切開でもなんでもして膿出しなさい」
翌日、家賃を支払いに不動産屋へ行った。
「チョットナニソレ、ウンデルヨオ!ハヤクビョウインイッテヨ、ハヤクイッテヨ、イマスグイッテヨ!」
事務担当の中国人のオバちゃんが叫んだ。
「でも、自然に治らないですか?」
「ハヤクイッテ、イマスグビョウインイッテ、イマスグデテイッテヨ!」
オバちゃんが一所懸命叫ぶので、病院に行くことにした。
【子供ができてん②へ行く】
確信犯③
『今冬に京都に旅行するから会おう』
と、彼が送信してきた。
『Oh良いね。でもなんで冬? 京都の冬は寒いぞ。なぜなら京都全体は山に囲まれた盆地になっているから冷たい空気が下に溜まって中々逃げない。無風なので夏は逆に猛暑』
と、返信すると、
『この時期しか長期休暇がとれない。最後の学年』
と、返返信してきたので、
『冬苦手なんだよ。動けない。韓国行ったら連絡するから、その時会おう。学業頑張』
と、Re2:すると、
彼が、キツネが車に乗っているスタンプをRe: Re2:してきた。
ほう。最近の若者は、男でもジャンジャン可愛いスタンプを使用する。
私の若い時分は、携帯メールで男が絵文字を使用すると、キモいという風潮があった。ところが、最近は中年男でも絵文字を普通に使用している。
私は未だに硬派を貫き、文字だけで勝負しているが、古い人間なのかもしれない。
どれどれ、少し時代に迎合して、スタンプとやらを送ってみようか。
猫のようなふっくらした動物のスタンプを、送信した。
その動物の頭上で、ハートが踊っていた。恋する雄
押し間違えて送ってしまった。
ダブルクリックじゃないのっ?!
ワンクリックで、送信されちゃうシステムなのっ!!
あ~~~~~~~~もうっ!
年下好きのホモと思われたかもしらん。
スタンプ選んでる時に、ちょっとワンタッチしただけで送信されてしまうシステム辞めて欲しいわっ!
ダブルタッチ、いやトリプルタッチで送信しましたにしようや。
そして、画面を下にスクロールさせるために設けられた長い棒…なんて呼ぶんだアレッ!……
そのテトリス棒の真横に、ハート系統のスタンプ置くなやあっ(プン!プン!)
確信犯やろ。
結局、ハートの奴を送ってしまったアタシは、その後、
パソコンのキーボードを打つ動物、眼鏡をかけて本を読む動物、ため息をつく動物やらの、出来得る限り硬派なスタンプを立て続けに送信しておいた。
ハートのやつは薄まったかしら……
光通信
当然、距離がある程、光が到達するまでに時間が掛かる。
天の川の光りが、地球に到達するまでに、四万年かかるらしい。
と、すれば、現在、我々が肉眼で見ている天の川は、ナント四万年前の星々の姿なのである。
そして、毎日のように我々が目にしている太陽は、8分前の太陽らしい。
と、すれば、太陽が爆発すると…まあ太陽は常に爆発しているので大爆発よりもっと凄い爆発、或いは砕けちるなどの兎に角凄まじい爆を地球人が見てしまった場合、その8分後に地球が滅亡する。
要するに、太陽が破裂する姿を見てしまったら、我々は残された8分を有効に使い、せめて満足したまま滅び行くべきである。
悪い太陽を見た時に空腹ならば、たらふく食べる行為を選択しよう。正に最期の晩餐である。
しかし猶予がない。ロールキャベツやブイヨンリゾットなど手の込んだ料理は諦めよう。非常食が手っ取り早いが、最期のカンパンは、ちと情けない。
やはり、身体に悪いジャンクフードが何よりも旨いので、それらを常備しておくべきである。
酒類に関して言えば、ウーロンハイやグレープフルーツ割りなど、割っている時間は勿体無いので、缶物に限る。
缶ビールとワインをガブ飲みしながらポテチをほおばりながら、ヤカンに蛇口からお湯を注いでIHを付ける。ヤカンは大抵がアルミニウム合金製なので、中火以下で使用しなければ傷むが、回数がラスイチなので強火の3kWでOK!
湯が沸くまで、ワインとビールを飲みながらシーチキン、チーズ、マヨネーズを掻き込む。咀嚼している間に、納豆に生卵を落として混ぜる。
納豆を頬張りながら沸いたお湯をカップヌードルに少なめに注ぎ、2分で蓋を開けて水を注いで直ぐに冷まして卵を落としてかきこむドッカーン!
悪い太陽を見た時、街中に居た貴方はラッキーだ。
最寄りのストアへ駆け込み、ビールを取り飲みながら走り、ぶりの刺身パックを頬張りながら惣菜コーナーへ行き、ハンバーグや海老フライ、焼鳥などを手掴み貪る。
食事制限されてる最中の糖尿病患者は、ここぞとばかりにスイーツを貪る。間に、缶チューハイや高級ワインをガブ飲みする。
ウイスキーをストレートで一気飲みして恐怖を麻痺させるのも手だ。
すでに満腹である場合は、眠りに着き、知らぬ間に消滅するという方法があり、実はこれが一番苦しみが皆無で幸せだと思う。安楽死に等しい。
だが、深い眠り最中の人間に対しては羨ましい限りなのだが、太陽の異変を目の当たりにした人々が、果たしてこれから「さあ寝よう!」という心境に至れるだろうか…恐怖で覚醒した人々の副交感神経が働いてリラックスするなぞ土台無理。ハルシオンをラッパ飲みしても、8分では効かないだろう。
そこで、三大欲求のうち二大を絶たれた人間がすべきは、性欲を満たすことである。
デート最中のカップルは人目を気にせず、やり出すだろう。
どうせ最期だし、見られて減るモンじゃなし。
セックスレスに悩む妻にとって、地球滅亡はヤレるチャンスである。旦那は、まあ最期の一回なら、テンガより生身の人間を選ぶだろう。
問題は、悲しい独り者である。たまたま風俗街をぶらついてた人間は超ラッキーだが、"待ち時間"という関門が待ち受けている。しかも、嬢が最期にお仕事をするだろうか?
残されるは、自慰行為。
オカズが必要だが、PCは立ち上げに時間が掛かるので、スマホでお気に入りから動画をダウンロードした方が早いのか…しかし、電波状況によってはサクサクいけないので、っていうか、アケオメの時みたいに皆が集中アクセスするからサーバーダウン。なので、緊急時のための"非常動画フォルダ"に動画ファイルを貯めておくべきである。
しかし、こういう時は、やはり印刷物が強いであろう。普段几帳面な税理士が、袋とじを豪快に裂く音は、断末魔の叫びを彷彿させる。
因みに、鈴木君は早漏なので、包皮と同じぐらい時間が余る。
対して私は、上手強過ぎるので、凄茎の耐性がアダとなりドピュ前にドッカン
清浄器
【※"冬"からお読みください】
猫の顔に、歯磨き粉を載せたハブラシを近付けると、石原都知事の何億倍も目をしばしばさせて、肛門みたいな表情をする。
どうやら、ハッカや柑橘系の匂いが苦手なようだ。
一方、猫の顔に屁をしても、一切苦渋しないし怒らない。
だから、冬の猫は必須である。その理由を今から語ります。
私はネギが大好物で、生も煮たのも日々大量に摂取する。
冬に食べるネギはニオイがきつくて特に好きで、常時体内に摂り入れているので腹が緩くなりがちだが、食後に極寒監獄みたいなトイレに行くのは億劫だし、折角食べたモノをすぐに出すとすぐに腹が減る感じで、しかも腹が減ったところで、リビングは寒くて食べるの面倒なので、極力便を我慢している。
すると、腸内で先日のネギが発酵するものだから、その発生気体をガス報知器に向かって放つとピロピロ警報が鳴るほど有害メタン猛毒なので、コタツの中はガス室硫黄と化す。
だから、猫が居ると、とても安心する。何故かと言うと、彼女がガスを吸って体内で分解して二酸化炭素を吐いた結果、空気清浄効果があるからである。
犬の顔面に放屁すると、自ら喜び勇んで鼻を尻に押し付けてクンクンするので、犬の方が消臭効果を期待できるが、犬はコタツに入らない。
先日、ネギや玉ネギやサーモンや鴨肉を肴に赤ワインをガブ飲みしたら、メタンが止まらなくなった。その状態で下半身をコタツに突っ込んでくつろいでいたら、中に居た猫がゲロ吐いた。
冬
例え屋内でも、廊下を歩くだけで、皮膚が痛い。脱衣所でマッパになれば、骨が痛い。寝床の朝方は、常に身体じゅうに強烈な液体ムヒがコーティングされているかのようにスースーする。
昔は、夏の方が怖ろしかった。夏場は、頭の血管が煮えたぎり、思考回路がショートし易かった。冬は、クールダウンでしっかりしていた。しかし今では、血管が収縮して、きついハンガーをコメカミ部に挟んでいるようにキリキリする毎日である。
御存知のように、"寒さ"というのはストレスの要因であり、暑さはストレスに含まれない。寒さは痛みを持っている。ソビエト連邦は、寒冷に負けた。
気温が、前日よりもぐっと下がった日に、おでんが売れるという。気温が低い時ではない。気温が下がったということを身体が感じた時に、暖を取りたくなるわけだ。ならば、体温が低い人間の方が、冬の外気との温度差を感知せずに済む。平熱が10度以下の低体温な人間が羨ましい。
有名校進学が全てと思っている息子、背伸びして大人になろうとしている夜遊び娘、鏡餅にしか見えない嫁、そもそも結婚願望ゼロ夫、それらが構成員の冷えきった家庭でも、低体温なら冷えを感知しないのだから、崩壊しないであろう。「いただきマンモス」と朝一の食卓で夫が言おうと、誰も殺意を抱かない。サムさを感じないのだから。
低体温、できれば、変温アニマルになりたい。
真冬の私は徹底的に凍てつき、分子レベルも運動しないので、身体がフリーズして動かない。私はスリム或いはスレンダーである。周囲は嫉妬して、”骨と皮しかない”と表現してくるけど。
何にせよ、骨が透けて見える熱帯魚のように体が薄いので、保温性のある脂肪が欲しい。良い容姿には興味無いので、デブになりたい。いや、デブスになりたい。容姿に自信がなくなれば、身の程を自覚でき、本仮屋ユイカ以外とは付き合いたくないという呪縛から解き放たれるであろう。
次いでに背も低くなりたい。現在高身長なので、頭をぶつけ易い。コタツで寝たら、足を伸ばすとはみ出すので、折り曲げざるを得ない。いつも折り曲げているのに、いっこうに膝が縮まず、背が変化しない。チビデブスなら、身の丈が知れ、吉永小百合が結婚した時に傷心せずに済んだ。私は高身長でスタイルが良いので、クレオパトラもイケると思ってしまい、その期待こそが苦悩の元なのだ。
しかも、背が高いと、当然天井が低くなる。部屋の中央に寝転がると、四隅まで埋まる。同じ1Kアパートに住んでいても、高身長の方が低身長よりも空間が狭い。にもかかわらず、どちらも家賃が同額というのは、どう考えてもオカシイ。
磁石唄
なぜ、磁石は、S極とM極じゃないの?
SとMは惹かれ合うのに
サディストあってのマゾヒスト
マゾヒストあってのサディスト
マゾとマゾは、上手くいかない
サドとサドなんて、反発しあってばかりさ
S+M=SM
ほら、くっついた。SMという言葉が現にある
S+S=SS
M+M=MM
SSやMMなんて成立しないので、やっぱり引っ付かない。
仮にも、そういう御店があるとすれば、どんなプレイが為されるのかなあ?
SとSだとしばき合い。力が強い方が勝つだけで、敗者はちっとも楽しくない。
MとMなんて、「僕をいじめてよ」「君の方こそいじめて頂戴な」と、懇願し合うだけで、ナニも起こらない
だから、磁石は、S極とM極に、改名しなくちゃいけないんだ。
しかも、N極なんて、一番付けたらアカン!
Nォーマル、NュートラルのN
いわば、普通、中間ってことだよねえ
Sが近付けば、何するんですかと抗うし、なによりN同士は、すぐに引っ付いちゃうじゃないか。普通男子と普通女子の普通アベック。誰もが羨むリア充。
以上。
しかし連中は、Nは、北はnorthのN。Sは、南はsouthのSナンダヨとのたまふう
だけど、それこそナンセンスのNだ! だめだあ。だめだー だめだめだー
一番離れてるじゃん!
北極と南極はよおっ!!
研ナオコの両目よりも離れてるじゃん。中央寄りにするの困難ですよねえ?!
もしも、NとSが本当にくっつくんだったら、北極と南極もくっついちゃう。
シュドーーーンってくっついてごらんよ
地球は、2つの玉になっちゃうよ
地球じゃなくて、地玉だよお
若しくはコウガン
それに、北と南は往々にして仲悪いからねえ。南北戦争、南北問題とか、いつもどこかでこじれてる
どげんかしてでもNを使用したいなら、Nを、”ネタ”のNとなさいませませ
そしてSは、”酢飯”のSじゃあっ!
キンタマ
大罪
新見さんを最後に見たのは、高校生の時。当時の彼女の容姿は、特に可も不可もなく、本当に普通の50点だったので、別に心は踊らなかった。
とはいえ、私は二十代後半辺りから、外見より内面重視になっていた。やはり大半の大人の男は、内面が美しい人に対してのみしか本気モードのスイッチは入らないということを、女性陣には知っておいてもらいたい。
若者ほどとにかくビジュアル重視。単純に可愛い娘と付き合い、その副産物として周囲を羨ましがらせたい。女性をアクセサリーの1つとして捉える。それが若男である。
ところが、年齢を重ねると男も変化してくる。内面を重視し出す。それは、女性が経済力を男に求めるように、男は女性に家庭を支える力(家事力)や、女を捨てて母になることを求めるようになる。また、美人過ぎると、他の男に誘惑される怖れもある。常に世の男性をとりこにするクレオパトラ的な美貌なんて要らない。『美人は三日で飽きるブスは三日で慣れる』とはよく出来た言葉である。
そういうわけで、顔の造りなんかに囚われずの、性格から滲み出る表情や仕種に主眼を置く思想のもとで、飲み会に臨んだ。
十年以上ぶりの新見さんは、すっかり大人の女性になっていた。とりあえず外見は67点。高校時代よりも上がっていた。まあ、”中の上”とはカノジョのことを言うのだろう。
カノジョは、話し掛ける度に笑顔で応えてくれた。更に、時折見せる、純粋無垢な笑いには惹き付けられた。しかし同時に、(本当に心から笑ってくれているのだろうか?)と、いささかな不安も産まれた。
もっとカノジョのことを知りたい、カノジョの表情の裏にある心情の内実を解き明かしたいと思った。
「またお話ししましょう」と言うと、新見さんは快くメールアドレスを交換してくれた。
飲み会に誘ってくれた友人と帰りが一緒になったので、御礼の言葉をかけた。
「今日は来て良かった。幹事の仕事サンキュー。新見さんって、よく笑う人になってたな」
「しずちゃんみたい」
似てる。特にウシシと色の悪い歯茎を剥き出した笑みはクリソツ。
いや、でも、しずちゃんよりは遥かにマシ…う~む……30点。
私はその日のうちに、”南キャン静代”のメアドを消去した。
幹事がそのネームを口にしていなければ、私達は連絡を取り合い、二人きりで逢瀬を重ねていたかもしれない。
彼の心無き一言が、私が気付けないでいた真実を引き起こし、芽生えかけていた恋の芽を摘んでしまったのである。
犯罪のニオイ
そしてそのイカツイ車が我々の車を追い越すと、今度は真ん前でスピードを緩めて徐行するという嫌がらせをしてきた。
友人が路肩に車を停め、ライトを消した。
ヤン車は徐行を辞め、前方へ去って行った。
しばらく停車した後、友人が発進した。
皆が無言だった。ビビッていたのだろう。
しかし、私が無言だったのは、どちらかと言えば腹が痛かったからである。体内で空気圧が上昇して、腸モツが圧迫されたのが原因であると思われた。
だから屁をした。
音が出ないように細心の注意を払いながら、ゆっくりと、ガス漏れするようにスー。
直ちに車内に甘ったるい下水臭が充満した。
誰もが無言だった。
車内が男だけだったら、「クセエ誰だっ!」と直ちに犯人探しが始まったに違いない。
しかし、今回はレディが居る。
罪無き男二人は、犯人が女性だった場合、罪を暴くのは可哀想だと思ったに違いない。
罪無き女性二人は、各々が、(ちょっとちょっとおアタシが放屁したと思われたらかなわないわ)と迷惑こうむってたかもしんない。
誰も窓を開けなかった。
当たり前だ。窓を開けた時点で、車内が腐臭していることを認めることになる。
なんということだ。例え犯罪のニオイがしても、嗅がぬフリして摘発を避けてしまう。
”他者を傷付けるのを怖れて真実を見ようとしないという集団心理を逆手にとり、のうのうと犯行を犯す者が居る”という現実を、我々は知っておかなければならないであろう。
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・児童の強み
木
まあ、人との親睦を深めましょうとボランティア団体が主催して下さった企画で、出会いを求める人々にとっては有り難いイベントである。
秋晴れの日曜日に、数十人が集った。空で雲を見れるとすれば、一筋の飛行機雲のみで、雨の不安を微塵も感じさせない。
主催者の林さんが、先頭に立ち、林道を誘導してくれた。
「では、この辺りで各自適当にお願いします」
皆が列から外れ、各々が栗を拾い始めた。
栗拾いを進めて行くうちに、なんとなくカップルができてきた。木村さんと木島さん。木田さんと八木さん。林田さんと林原さん。林戸さんと林部さん等など。
そこそこモテていたのが、木花さん。二番人気が、花林さん。一番人気が、華森さん。
しかし、ずっと一人ぼっちなのが、杉林さん。酷なことに誰もが生理的に無理らしく、彼に近付くとクシャミが止まらない。
そんな中、木下さんはカップルそっちのけで、大きな栗の木の下でせっせと没頭していた。この人は、本当に栗を多く拾いたいらしい。
森さんは、林じゃ物足りないわとどんどん奥へ進んで行く。森林さんは、落ち着きがない。林と森を行ったり来たりしている。
昼食タイムになり、皆がお弁当を広げた。
「ここでゲストタレント樹木キ林さんの登場です!」
サプライズゲストの登場に、会場が沸いた。
しかし午後、栗拾いが再開するや、事件が起きた。
木下さんの栗が、何者かに盗られたのだ。上山さんはずっと頂上に居た。山下さんはずっと麓に居たから、彼等にはアリバイがある。きっと、山賊さんがとったのよ。
突然、猪とマムシの異色カップルが威嚇してきた。
「シャーーーー!!!」としか言わないが、俺達の林を荒らしやがってと聞こえる。
すると、「林じゃなくて、森よ!」と森さんが叫ぶ。「違うわよここは山よ!」と山中さんがキレる。「そもそも私は参加して宜しかったでしょうか…?」背が低くて存在感が無かった草野さんが、初めて口を開いた。
「どうでもいいわ!」
マムシの森山ソウさんが、我慢できずに毒がたらたら垂れている早漏の牙を剥き、尻尾をバネして上手く跳ねて、林や森の姓へ襲いかかった。
「やめい!」
ある者が一喝した。
「皆が仲良くしなさい」
彼の一言で、マムシと猪の森山夫妻が大人しくなった。皆が彼にお礼を言う。
「ありがとうございます。あなたは?」
「山神です」