大手企業に勤める光男(仮名)には、年上カノジョの美幸(仮名)がいました。
光男は仕事が忙しかったのですが、美幸が会いたがるので、週末はデートをするように努めました。
光男は一人暮らし、美幸は実家暮らしだったので、デートの日に美幸が光男の家に泊まることが、しばしばありました。
あるデートの帰り、二人が光男の家の最寄り駅で降りた時、
「たまには、こっちから帰ってみよーよ」
と、美幸が言い出しました。
光男は、少々遠回りになるけど、気分転換の散歩にもなるし、まあいっかと、美幸について行きました。
ところが、次のデートも、そのまた次の時も、美幸は遠回りのコースを選択するようになったのです。
「どうして、わざわざ、遠回りするんだ?」
「いいの。いいの。運動運動」
美幸が光男の言うことに耳を貸さずに進むので、光男は仕方が無く後をついて行きました。
「パンフレットいかがですか?」
突然、ある建物の前に居た、礼儀正しそうなスーツ姿の男に声を掛けられ、美幸は立ち止まりました。
「いかがでしょう?」
男が、パンフレットを差し出すと、美幸はそれを手に取り、眺めました。
「あ。良いですね。良いね、これ。ほら見てよ」
美幸は、光男に、パンフレットを見せました。
「お時間あれば、中でコーヒーでもどうぞ」
スーツの男が言った、その時です!
【関連記事】
・本当にあった怖い話し①
・本当にあった怖い話し②
・本当にあった怖い話し④