高学年の脳②

小5か小6の時に、急に、大きめのテレビジョンがある室内に一学年全員が集められて、ビデオを見させられた。
先生が暗幕的なカーテンをシャっと閉め、デッキを再生してヴーーガチャとテープが回ると、
オタマジャクシの形をした透明な微生物のようなモノが、複数蠢いている映像が、目に飛び込んできた。
『膣内に入った精子は、』
から始まるナレーションが流れて、卵子と結合してそれが胎児になるみたいなことを学ばされた。

「3億の精子の中で卵子と結ばれるのはたった1匹の精子なんだよ。君達は選ばれた人間なんだ」
と、先生が言われて、「ほえ~」と生徒一同が感嘆の声を上げた。
どうやら、子供の産まれ方を学ばせたかったらしい。しかし、イマイチしっくりこなかった。国語算数理科社会なる授業と質が違うし、テストにも出ない分野。 結局、何がおっしゃりたいの??と、思っていた。

「先生、精子はどうやって女の人の体の中に入るんですか?」
クラスの男子の殆どが好意を抱いていた、勉学も運動も出来て学級委員も兼ねる発育早めの女子が質問した。
そう、それだ!
その疑問が解消されない限り、子供の産まれ方を学んだことにはならない。
しかし、先生は、「それは、またの機会に教えます」とはぐらかす。
そこを何故説明しない??
なんとなく、セップンした時に精子が入るのではと勘繰っていた。しかも当時の私が考えた接吻とは、唇と唇が触れるだけのもので、まさか、あの水面下では舌と舌を絡める行為が為されていることすらしるよしもなかった。
それはさておき、まあ、ねえ……教師が「キスすんだよ」なんぞを生徒の前で言う事は、淫らな発言であり、PTAも黙っちゃいない。
またの機会は無いなと子供ながらに察したのであった。

三億もの競争を勝ち抜いたのに、何でカメハメ波を出せないんだドドンパ。


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